ストーブを仕舞おうとしたらスチームの給水口から冬の水が出た。 ごろごろ特売ブロッコリーもよくよく見れば咲く予定の密集で、店先の箱に折り重なりながら陽気でじんわりつぼみをゆるめる。たとえ黄色くほころんでも見頃をむかえず見切続きを読む “4月素描”
カテゴリーアーカイブ: 寄稿
マイクロ家族
ぬか床を育てて半年くらいになる。 米屋でもらってきた米ぬかと塩を混ぜるところから始め、発酵を促すために野菜の切れ端などを入れる捨て漬けをくりかえし、乳酸菌を増やしながら育ててきた。徐々に発酵臭がするようになって、見えない続きを読む “マイクロ家族”
沼好物
沼好物というのは、沼地に足を取られるかのごとくはまり込んでしまう好物のことで、3分ほど前にみたらしだんごを食べながら思いついた造語である。 私の沼好物はみたらしだんごで、なかでも特に沼化しているものとしてヤマザキの3本入続きを読む “沼好物”
なのはな
ゆらりゆらるる なのはなのはな なをなのる なのはながゆれる なをなのる なのはながゆれる わたしわたしと ひとこともいわず なをなのる なのはながゆれる こぼれるきいろ じゅふんうらなう あぶらなあぶら あぶらなあぶら続きを読む “なのはな”
3月素描
何かの拍子に体質が改善されて今年こそ、と期待してみるけれど、気温が上がるや花粉の飛散を感知する。 読んでいた小説に、妻に先立たれた男の独り身について、それは孤独ではなく寂寥であると書いていた。亡妻のかわりに人生の寂寥がひ続きを読む “3月素描”
仙台滞在記
先週まで東京にいて、続きに宮城に用あって仙台に向かった。新宿から昼のバス。窓側で風景をながめていた。埼玉より上の方には行ったことがない。都市部を遠ざかるにつれて田畑田畑田園。彩度の低い冬模様の風景にかろうじて空が青い。福続きを読む “仙台滞在記”
山谷滞在記
仕事で東京にきて南千住のあたりに泊まっていた。初日に宿泊先のシェアハウスに着いたのは夜11時で、まったく土地勘がないし暗いので周囲の風景をよく見ないまま朝になり、食べものを探して外にでた。向かいはモツ専門の肉屋だった。す続きを読む “山谷滞在記”
月夜釜合戦の夜
寒い夜、京都みなみ会館に「月夜釜合戦」という映画を見に行った。 大阪の釜ヶ崎で撮影された劇映画で、多くの映画がデジタル撮影に切り替わるなかこの映画は16ミリフィルムで撮影されている。上映後、佐藤零郎監督の舞台挨拶があり、続きを読む “月夜釜合戦の夜”
三月の5日間より先の日々
ロームシアター京都でチェルフィッチュの「三月の5日間」という演劇を見た。2003年の東京を舞台に書かれた戯曲で、当時イラクでは戦争が起こり、中国では新型肺炎SARSが流行り、レスリー・チャンは飛び降りた。 それから15年続きを読む “三月の5日間より先の日々”
うすしお
このコラムは時々詩だったりする。なぜ詩になることがあるのか。詩の言葉はこういう文章を書くときと言葉の編成の仕方が違う。散文を書くときは特別な意図がない限り滞りない描写に努めている。詩は違う。ひとつの言葉自体に言葉の行く先続きを読む “うすしお”