寒いと煮炊きに積極的になるのはできるだけ火の傍で暖をとりたいからで、同じようにオーブンも使いたくなる。オーブンと言っても買ったときからすでに中古の電子レンジのオーブン機能だけれど、それでパンも鶏もケーキもちゃんと焼ける。続きを読む “ありものケーキ”
カテゴリーアーカイブ: 寄稿
着物 キモノKimono
着たいときに思い立って着物を着られるくらいになっておきたいと数年前、某無料着付け教室に通った。15回の講座のうち2回セミナーというのがあって問屋に連れて行かれる。反物や帯地の産地、製法の説明などもあるけれど、ちょっといい続きを読む “着物 キモノKimono”
黒豆
正月遠ざかるにつれて冷蔵庫からタッパーが減り、味噌卵納豆牛乳のいつもの様相に戻っていく。祝い箸を使うのは7日までだけれど、麺類を食べるとき滑らなくていいからとっておく。はりきって1袋250g全部炊いてしまった黒豆はパウン続きを読む “黒豆”
左手
小学校に上がる前、ひらがなを本格的に習い始める前までは鉛筆も箸も左手で持っていた。ちょうどその頃引っ越して祖父母と同居になった。茶道の先生だった祖母は左利きは教えにくいというのが頭にあって、ぎっちょはあかんと箸と鉛筆は右続きを読む “左手”
12月素描
駅前の公園で木枯らしでも微動だにしないパンダがほほえむ。駅に降りていくもこもこした人々を見送るパンダのほほえみ。 その向かいにはおでん屋があって、夏には見られなかった行列が寒くなるに連れて伸びていく。 手と唇から油気がう続きを読む “12月素描”
水溶性
水気を含んだ内側は重たく どこからか渾々と 涌くものを湛えて 中から流されるような足どりで ひたひた歩いて人混みのなか 帰宅 冷たい床と足の接触 凍てるカーテンはなびかない 予感のような淡さより やかんの底続きを読む “水溶性”
心配
ついた目鼻を 取り外して一度 初心に帰ろうとしたけれど そうすると今度は 心を見失ってしまいました 電気ショックを与えて 心の行方を探すけれど 心室の扉を叩いても 返事はなく 押しても引いても 心ここにあらず続きを読む “心配”
呼吸
堰を切ったように 積年の 赤裸々が 腫れ上がり 本日は 晴天なり おお サンショウウオの 表面を旅し 荼毘にふしても 焼けのこる 生やけの どっちつかずな手足が逆に なまめかしいね 仮死の 歌をうたって 飢餓の 都に雨を続きを読む “呼吸”
11月素描
寒さが増すほど布団は地球とは別の引力を帯び目蓋は重く、ガス代と電気代はゆるやかに上昇し、季節は冬へと移行する。 土鍋とパネルヒーターをメルカリで買った。土鍋の方には出品者から直筆のお礼の手紙が添えられていた。大阪で50年続きを読む “11月素描”
金曜日
輪郭をうるませて 硬度を手放す鉱物の 恍惚に乗じて にじんだ指紋をかき混ぜる 認証できない指先で 誰でもないひとに触れ 不定形な肌の合間 足をとられているうちに 水晶体がこぼれ落ち 同時に世界は散乱し 魚眼や魚卵のつぶつ続きを読む “金曜日”