寒い夜、京都みなみ会館に「月夜釜合戦」という映画を見に行った。 大阪の釜ヶ崎で撮影された劇映画で、多くの映画がデジタル撮影に切り替わるなかこの映画は16ミリフィルムで撮影されている。上映後、佐藤零郎監督の舞台挨拶があり、続きを読む “月夜釜合戦の夜”
投稿者アーカイブ:mimacul
三月の5日間より先の日々
ロームシアター京都でチェルフィッチュの「三月の5日間」という演劇を見た。2003年の東京を舞台に書かれた戯曲で、当時イラクでは戦争が起こり、中国では新型肺炎SARSが流行り、レスリー・チャンは飛び降りた。 それから15年続きを読む “三月の5日間より先の日々”
うすしお
このコラムは時々詩だったりする。なぜ詩になることがあるのか。詩の言葉はこういう文章を書くときと言葉の編成の仕方が違う。散文を書くときは特別な意図がない限り滞りない描写に努めている。詩は違う。ひとつの言葉自体に言葉の行く先続きを読む “うすしお”
ありものケーキ
寒いと煮炊きに積極的になるのはできるだけ火の傍で暖をとりたいからで、同じようにオーブンも使いたくなる。オーブンと言っても買ったときからすでに中古の電子レンジのオーブン機能だけれど、それでパンも鶏もケーキもちゃんと焼ける。続きを読む “ありものケーキ”
着物 キモノKimono
着たいときに思い立って着物を着られるくらいになっておきたいと数年前、某無料着付け教室に通った。15回の講座のうち2回セミナーというのがあって問屋に連れて行かれる。反物や帯地の産地、製法の説明などもあるけれど、ちょっといい続きを読む “着物 キモノKimono”
黒豆
正月遠ざかるにつれて冷蔵庫からタッパーが減り、味噌卵納豆牛乳のいつもの様相に戻っていく。祝い箸を使うのは7日までだけれど、麺類を食べるとき滑らなくていいからとっておく。はりきって1袋250g全部炊いてしまった黒豆はパウン続きを読む “黒豆”
左手
小学校に上がる前、ひらがなを本格的に習い始める前までは鉛筆も箸も左手で持っていた。ちょうどその頃引っ越して祖父母と同居になった。茶道の先生だった祖母は左利きは教えにくいというのが頭にあって、ぎっちょはあかんと箸と鉛筆は右続きを読む “左手”
12月素描
駅前の公園で木枯らしでも微動だにしないパンダがほほえむ。駅に降りていくもこもこした人々を見送るパンダのほほえみ。 その向かいにはおでん屋があって、夏には見られなかった行列が寒くなるに連れて伸びていく。 手と唇から油気がう続きを読む “12月素描”
水溶性
水気を含んだ内側は重たく どこからか渾々と 涌くものを湛えて 中から流されるような足どりで ひたひた歩いて人混みのなか 帰宅 冷たい床と足の接触 凍てるカーテンはなびかない 予感のような淡さより やかんの底続きを読む “水溶性”
心配
ついた目鼻を 取り外して一度 初心に帰ろうとしたけれど そうすると今度は 心を見失ってしまいました 電気ショックを与えて 心の行方を探すけれど 心室の扉を叩いても 返事はなく 押しても引いても 心ここにあらず続きを読む “心配”