葛の葉、という字の佇まいからは何かしら品のあるものを感じる。 葛というと、葛湯とか葛きりとか、加工品も上品なのでなおさらそんな気がするし、これは伝説だけれど陰陽師の安倍晴明の母親は白狐の変化で、その名前が葛の葉という。な続きを読む “葛の葉”
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釜ヶ崎の1時間
友人から釜ヶ崎にある立ち飲み屋で夜にライブとするという知らせをもらった。歌を聞きたかったので行くことにしたけれど、釜ヶ崎という場所には行ったことがなかった。写真や何かで読んだりした街のイメージしかなかったので、日が暮れた続きを読む “釜ヶ崎の1時間”
文字の体
こういう文章や詩を書いているけれど、正確には書いているのではなくて全部打っている。モニター越しにゴシック体に変換され、きちんと整えられた文字が並んでいくのを見ているのが気持ちいい。自分の筆跡を離れた言葉を眺めていられる距続きを読む “文字の体”
奇妙な果実
ビリー・ホリデイの歌のことについて書こうとしているのではないけれど、タイトルを奇妙な果実と決めたところでイントロが頭の中で流れ出す。 季節になってスーパーに無花果が並ぶようになった。数ある果物のなかでいちばん好きなものを続きを読む “奇妙な果実”
割れたチェロ・ソナタ第3番
お気に入りのパン屋が日常自転車移動範囲に数件ある。そのうちの一件はくるみパンが有名で、そのくるみパンには数日後にまた食べたくなる柔らかなものの中毒性があり、出先でお腹が空いたらしょっちゅうそれだけ買って自転車で走りながら続きを読む “割れたチェロ・ソナタ第3番”
ばらに憑かれて3
ばらも品種によって強い弱いはあるけれど、気温が上がってくると病気と虫の被害に少なからずあう。 葉や茎に白い小麦粉のような粉を吹くうどん粉病、黒い斑点が出て葉を黄変させる黒星病などは毎年必ず出る。小さい蛍みたいな格好で腹が続きを読む “ばらに憑かれて3”
ばらに憑かれて2
今年初めて花を咲かせたバリエガータ ディ ボローニャというばらがある。 去年の春に15センチくらいの新苗にホームセンターで出くわした。白地にマゼンタの斑が入る複色の花の写真があまりに魅力的だった。苗が幼いので1年待たない続きを読む “ばらに憑かれて2”
ばらに憑かれて1
ばらは人に憑く。ばらに憑かれると人はどうなるか。朝、ゴミを出しにいって玄関先のばらの鉢の前でパジャマのまま立ち尽くし、乗る予定の電車に遅れる。夕方、帰って来てもスーパーの袋からごぼうやねぎをはみ出させたまま玄関先に立ち尽続きを読む “ばらに憑かれて1”
そこら辺の春の息吹を血肉にする方法 4
八重桜の花が終わる頃に葉を少しもらってきて塩漬けにしておいた。 生の葉からはほとんど感じ取れないのに、塩漬けにすると桜餅のあのにおいがしてくる。人工的な香料を使わなくても桜餅の印象がこんなにはっきりと漂ってくるのかと驚く続きを読む “そこら辺の春の息吹を血肉にする方法 4”
そこら辺の春の息吹を血肉にする方法 3
天気が良くて心に余裕のある休日ならよもぎを摘む。裏の白い柔らかい葉を触って指先を嗅げばにおいでよもぎだとわかる。先端の見るからに勢いのこもった部分を両手分くらい摘む。よもぎと言えばやはり餅。洗って3分くらい茹で15分水に続きを読む “そこら辺の春の息吹を血肉にする方法 3”